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赤ひげ診療譚

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    「赤ひげ診療譚」山本周五郎(新潮文庫)読了。

     

    いやはや、素晴らしい小説でしたね。

    実にうまいストーリー展開と、生き生きした人物の造型。

     

    正直、山本周五郎って、大衆小説だろって軽く見ていたところがあった。

    ところがどっこい、

    人間のすばらしさ、人間の汚さ、

    すべてを見通し、そこに徹したところから書く姿勢に

    しみじみ感動しました。

    これは、

    「季節のない街」

    「青べか物語」

    を読んだときにも感じたこと。

     

    「赤ひげ」に関しては、それに加えて、

    政治とは何か、どうあるべきか、

    ということにかなりに踏み込んだ描写が多々見られたところが、

    印象に残っていますね。

     

    小石川療養所の医師「赤ひげ」は日々貧しい庶民の診察に当たっている。

    一方、長崎に遊学して江戸に戻ってきた保本登。

    こちらは、エリートのお抱え医師として登用されるはずだったが、

    わけあって赤ひげのところに来ることに。

    保本はこの赤ひげのもとで、

    医療とは何か、

    人間とは何か、

    社会とは何か、

    を学んで、成長するんですね。

    そのエピソードがいいんだなあ〜。

     

    通奏低音として響いてくるのが、

    「貧困と無知」。

    貧しい人たちは、貧困にあえぎ、

    無知のためにますます貧困を余儀なくされる。

    富めるものがますます富み、

    貧しいものがますます貧しくなる、

    赤ひげはいつもそのことを嘆き、のろい、

    しかし、全身でそれに向き合う。

    初めは保本にはその意味がわからないが、

    ともに患者に向き合う中で、

    その意味を深く理解してゆく。

     

    小説の舞台は、江戸時代。

    またこの小説が刊行されたのが昭和34年。

    まだ日本に貧困が日本に身近にあった時代。

    この時代には、この小説は多くの人たちに受け入れられたと思う。

    黒澤明が映画にし、またそれが評判になったのも、

    そういう時代背景があったからだろう。

     

    それから、幾星霜。

     

    今、令和になって読んでみて、

    むしろ、この時代にこそ

    もう一度読み返されていい作品のように思えます。

     

    貧困

    無知

    人情

    男女の機微

    学ぶこと

    人の心を読むこと

    働くこと

    生きる価値

     

    いろんなことがこの一冊の中にぎっしり詰まっている。

     

    これから社会に出て行こうとする人に

    ぜひ読んでもらいたい一冊ですね。


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      • 2019.10.11 Friday
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